ネパール人学生のメンタルヘルスについて
本校に初めてネパール国籍の学生がやってきたのは2007年のこと。その頃からコロナ渦前ぐらいまでネパール人学生と言えば、「精神面の安定感抜群」というイメージがありました。しかし、コロナ渦以降において、日本各地でネパール人学生の健康状態が主に精神面において追い詰められているような記事や事件を目にするようになりました。
先週、出張でネパールから帰って来たのですが、「たった1年間でこんなにも変わるのか。。。」と言う驚きが一番の感想です。街がネオンでピカピカ。数年前まで計画停電を行っていた国とは思えません。そして道を走る車は新車が圧倒的に増え(日本車は日本で売られている値段の4倍でしたが増えています)、去年までは女性のバイカーを見たことが無かったのですが、今回はスタイリッシュなスクーターにカッコ良く乗って仕事に向かう女性達を多数見ました。またカトマンズ市内に信号ができていました(10基ほど)。このように勢いよくライフスタイルが変わりゆく格差社会の中、学生達にかかるストレスは大変なものです。夢を抱くのはいいですが、家族や親せき、地元地域の人々までもが「日本での成功」というワードに踊らされ、様々なプレッシャーをかけているよう見受けられます。そして日本同様、デジタルネイティブ世代の発展途上国から来る学生達には何らかの「もろさ」も見えるのです。
実際、本校でも今年の4月に入学したネパール人男子学生1人が精神的に不安定で8月に帰国しました。また、同時期に入学したネパール人女子学生1名も今週一時帰国をし、現地の精神科を受診をしている最中です。非常に残念ではある反面、適宜に本国に帰国させるとこができたことは本当に良かったと思っています。現地には本校に入る前まで日本語を勉強していた学校があるのですが、15年来の付き合いです。学生に何かあった場合には速やかに家族へ連絡してもらう。一時帰国となればお金がかかり学生も帰国を躊躇するかもしれませんが、航空券も現地の学校がすぐに手配し一両日中に学生に送ってくれます。学生としては迷う暇なく決意ができる流れができているので、病気-特に治療の難しい精神的な病に関してはスピード感を持って対応しています。現在の在籍者は218名ですが、教員からのクラスでの様子、寮担当者からの生活面の様子、登下校の際に門の前で挨拶をする代表、私を含む常勤職員の観察などで在籍学生全員の様子を確認-シェアできていると思います。今後も新しい課題が出て来るはずですが、この体制をもって取り組んで行きたいと思います。
▼ 街は変わったとはいえ、まだまだ自然で溢れた盆地のカトマンズ市内
